2023年11月11日(土)、タイ バンコクの当財団事務所内にて、タイの学生たちを対象とした2023年度後期奨学金授与式を開催。応募資格をクリアし選考を通過した40人の中高生・大学生が奨学金を受け取りました。
当財団は11月18日(土)にパヤオ県のシャンティ学生寮にて、11月25日(土)にターク県のターソンヤン郡・ウィタヤーコム学校にて、それぞれ奨学金授与式を開催予定です。今年度の奨学生数は計370人。全員、都市スラム地区や山岳地域に暮らす学生です。
1984年の事業開始から今年で40年目を迎える当財団の奨学金事業では、これまでに延べ11,948人の学生たちを支援してきました。
奨学金事業立ち上げの背景
近年めまぐるしい経済成長を遂げているタイですが、都市スラムや農村の子どもたち、山岳少数民族、移民労働者の子どもたちは未だ、社会的・経済的に困難な状況に置かれています。タイでは私立と公立の「教育の質」の差が非常に大きく、学歴社会と言われるタイにおいて、質の高い教育を受けられないことは子どもたちの将来に直結する深刻な問題です。
当財団では、タイにおける教育格差の是正を目的とし、1984年に奨学金事業を開始しました。
対象地域は、バンコク、ターク県、パヤオ県の3地域。両親や片親の死亡もしくは離婚等により保護者が不在の子どもたち、両親もしくは家族が慢性的な疾患をかかえており就学に影響が及ぶ子どもたち、事故や自然災害により被害を受けた子どもたち等を対象としています。
2007年、株式会社ニコンの支援により「ニコン・シャンティ奨学金制度」が設立されました。「ニコン・シャンティ奨学金制度」におけるこれまでの奨学生数は、合計延べ2,747人(中高生2,400人、大学生347人)です。
継続的な教育支援を通じ、当財団は社会的・経済的に困難な状況に置かれているタイの子どもたちの”貧困からの脱却”を目指します。
2023年度奨学金授与式の様子
11月11日(土)、バンコク最大のスラム街「クロントイ・スラム」内にあるシーカー・アジア財団事務所にて、2023年度奨学金授与式を開催しました。
クロントイ図書館のダンス教室に通う子どもたちによる、タイダンス披露から幕を開けた授与式。ドゥアン・プラティープ財団創設者でシーカー・アジア財団代表顧問のプラティープ・ウンソンタム秦 氏による開会挨拶および、同財団事務局長のナリラット・タンジャルンバムルンスック 氏による事業報告に続き、奨学金授与が行われました。
ご来賓のニコン・タイランド取締役 千葉淳史様からは、「ニコンの工場はバンコクから北に80kmほどのアユタヤにあり、製造した商品は世界中のファンの皆様にお届けしています。少しでも、親愛なるタイの皆さまのお役に立てればと思い、2007年に奨学金事業を始めました。奨学生の皆さん一人ひとりが、希望です。色々なことに対して好奇心を持ってください。学習したこと、挑戦したことは、きっと人生に大きく役立つはずです。」とお祝いの言葉を述べられました。
その他、以下の来賓の皆さまからも、温かいご挨拶のお言葉をいただきました。
・在タイ日本国大使館 鈴木昭喜 様(二等書記官) 川村真紀 様(広報文化部長)
・タイ国日本人会理事 太田圭亮 様
・独立行政法人国際協力機構 JICA タイ事務局長 鈴木和哉 様
・バンコク・スアンプルー地区 地区会長 ポーンティップ・ウンジョム 様
この後、奨学生代表の生徒から御礼のメッセージ、そして元奨学生からの励ましのメッセージが送られました。会の所要時間は2時間ほどでしたが、終始和やかな雰囲気で進行し、最後は温かい拍手で幕を閉じました。
奨学金事業の成功事例
オラタイ・プーブンラープ・グナシーランさんは、シーカー・アジア財団が図書館活動を展開しているスワンナプルー地区のスラム出身です。彼女は図書館にある約6000冊もの本をすべて読み込み、勉学に励んだ結果、”タイの東大”とも言われるチュラロンコン大学への入学を果たしました。その後、超難関の政府留学生に選ばれてロシアへ留学し、修士号を取得して外交官となりました。現在は、在カザフスタン・タイ大使館の参事官として活躍中です。
当財団は今後も、オラタイさんのような成功事例を生み出すべく、継続的に子どもたちの教育支援を行っていく所存です。